狐と嫁と溺愛と
気がつけばスーツ姿であたしのベッドに座っている大河さん。
帰ってきて、そのままこの部屋に来たみたい。
「久しぶりの会社はどうだった?」
「ジローがピリピリしてた」
「ふふっ、忙しいからだね」
シュルリとネクタイを首から引き抜き、シャツのボタンを数個開けて。
パタッと横になる大河さんは、やっぱりどんな仕草も様になる。
「明日、休みにしてきた」
「うん?」
「妖の世界に行かないか?」
「えっ⁉︎」
「あっちの世界はもう桜が咲いてるらしい」
「あっちの…世界って…」
「イヤならいい。俺みたいなのがうじゃうじゃいるし。無理強いはしない」
来て欲しいって…聞こえるんだけど…。
あたし、自惚れてもいいのかな?
最近ね、すごく…すご〜く、大事にされてる気がするの。
エサとか、力のためとか、そういうんじゃなくて。
ちゃんと『ナナ』という人間を見てくれてるような気になっちゃうの。
帰ってきて、そのままこの部屋に来たみたい。
「久しぶりの会社はどうだった?」
「ジローがピリピリしてた」
「ふふっ、忙しいからだね」
シュルリとネクタイを首から引き抜き、シャツのボタンを数個開けて。
パタッと横になる大河さんは、やっぱりどんな仕草も様になる。
「明日、休みにしてきた」
「うん?」
「妖の世界に行かないか?」
「えっ⁉︎」
「あっちの世界はもう桜が咲いてるらしい」
「あっちの…世界って…」
「イヤならいい。俺みたいなのがうじゃうじゃいるし。無理強いはしない」
来て欲しいって…聞こえるんだけど…。
あたし、自惚れてもいいのかな?
最近ね、すごく…すご〜く、大事にされてる気がするの。
エサとか、力のためとか、そういうんじゃなくて。
ちゃんと『ナナ』という人間を見てくれてるような気になっちゃうの。