狐と嫁と溺愛と
一緒に食べた夕飯は、いつもより会話が少ない気がした。



あたしに見つかってしまった夢さんが堂々と配膳をしてる。



「かくれんぼはやめたのか?夢」

「見つかってしまったので」

「他の連中はまだ隠れてんだな」

「そうですね。楽しんでるようで」

「連れて来い」

「えっ…?」

「もういいだろ。ナナには俺たちのことを話してるんだ。そろそろ、理解してもらいたい」

「では…連れてきます…」



やっぱり大河さんは怒ってるんだと思った。



あたしが妖を怖いと言ったから…。



「お、怒ってるの…?」

「なんで怒る必要がある?」

「あたしが…怖いって言ったから…?」

「それは仕方ないことだろ?俺たちとお前じゃ、生きてきた環境が違うんだから」



そう言う大河さんだけど、本心がわからない。



本当はなんて言いたいの?



本当は怒ってるんじゃないの?



「主様、連れてきましたよ」

「おぉ、お前ら、久しいな」


うわっ…。


< 117 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop