狐と嫁と溺愛と
あたしを好きだとか、守るとか。



ウソでもいいよ。



あたしにバレなければ、それがあたしにとっては真実だから。



あたしはダメ男に引っかかるタイプなのかもしれないと、初めて感じた。



その時、襖を叩く音。



「入っていいか〜?」

「おぅ」



スーッと開いた襖から顔を出したのは、短髪のイケメン。



この人が鬼さん…?



「遊鬼(ユウキ)久しぶりだな」

「お前はいつも突然すぎる。花嫁さん、初めましてだな」



ニカッと笑った顔が、ヤンチャそうで。



でも、素直な感じ?



大河さんが友人と呼ぶほどだから、きっといい人だよね?



「初めまして、ナナです」

「ナナちゃんね。あれだろ?神様の」

「そう…みたいです…」

「はははっ‼︎かわいい子でよかったな、大河」



か、かわいいって言われたっ‼︎



大河さん、かわいいって‼︎



「相変わらず失礼だな、お前は。顔なんてどうでもいい」

「面食いだろ、狐様はよぉ〜」



そうなの⁉︎


< 146 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop