狐と嫁と溺愛と
でも、そんな思考はすぐに吹っ飛んだ。



大河さんが痣に触れて、そこにキスされたら、もう抗えない快感。



布団をギュッと握り、それに耐えることしかできない。



「ん〜…」

「どんな豪華なメシよりうまいよ…」



気持ち良すぎておかしくなりそう…。



もうやめて、大河さん…。



「いいなぁ〜…。俺も喰べたいなぁ〜」

「遊鬼っ‼︎」

「椿がやたらいい匂いだったんだけどぉ…。俺にもくれよ、ナナちゃん」




なななななっ、なんでいるんですかっ‼︎



開けっ放しの襖から、腕を組んでこっちを見ている鬼さん。



恥ずかしすぎて死ねるっ‼︎



すぐに浴衣で痣を隠してくれた大河さんだけど、どうやら怒ってるようで。



「マジ、殺すよ?」

「減るもんじゃねぇじゃんよぉ‼︎」

「減るだろ。ナナの大事なものが」

「そんなことより、やっばいくらいの匂い。早く隠したほうがいいと思うけど?俺もおかしくなりそう」



そう言った鬼さんの頭に、ツノがふたつ。



八重歯と呼べないくらいのキバみたいなもの。



イケメンにかわりはないけど、やっぱり鬼‼︎



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