狐と嫁と溺愛と
その後ろからペコッと頭を下げて部屋に入ってきた金髪の少年。



「志鬼(シキ)です…」



大河さんに対し、ぶっきらぼうにそう言った彼は、多分息子さんだろう。



同じくらいの歳かな…?



背が高くて、やっぱりイケメン。



椿さんに似てる‼︎



「コラ、妖狐様相手に失礼よ‼︎」

「いやいや、そういう年頃なんだ、気にしないでくれ」

「自分が鬼だって自覚が薄くて…。ごめんなさいね、妖狐様」

「デカくなったな。俺が前に会った時は5歳くらいだったのに」

「そうですね。あの頃は怖がって近寄らなかったけれど」

「遊鬼に似なくてよかったな」



笑いあう大河さんと椿さんの横で、一升瓶片手にムッとしてる鬼さん。



ケンカは仲直りができたのかな?



「ただのキツネだろ…」



ボソッとそう言ったシキくん。



一瞬、空気が冷たくなった気がした。



「ただのキツネか…。まぁ、そうだな」

「俺、もう寝るし」



なに…?



怖い…。



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