狐と嫁と溺愛と
その日の夕食は、食べたことがないくらい豪華で。



何を食べているのかわからなかったけど、とにかくおいしかった。



高島さんも一緒に食べてくれて、結婚初日にひとりで夕食を食べるなんて、虚しいはずだったのに。



高島さんには本当に感謝だ。



その後のお風呂は、修学旅行で行った温泉を思い起こさせる広さ。



部屋にもシャワー室があったけど、お湯に浸かりたい派のあたしはこのお風呂に入った。



お風呂もいつでも入れるし、ご飯は時間になれば用意してくれる。



洗濯も掃除も、あたしはやらなくていいんだって。



今までの生活とは似ても似つかないような贅沢。



どうしてあたしなんかがこんな立派な屋敷にいるんだろ。



「お父さん、ご飯食べたかな…」



あたしがいつも作ってたから、ちゃんと自炊できるかな?



洗濯物、溜めないといいけど…。



「うぅぅぅ〜…」



涙が溢れた。



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