狐と嫁と溺愛と
ずっと抱っこしたかった。



恐る恐る近づいてきた秋銀ちゃんを抱き上げ、腕の中におさめる。



あったかくて、柔らかくて。



「カワイイ…」

「ぼ、僕は可愛くないぞ‼︎」

「抱っこしてもいい?金次くん」

「特別…いいよ?」



長年生きてても、やっぱり子どもなんだ。



顔を赤くした金次くんも一緒に抱っこ。



大河さんの気持ちがよくわかる。



このふたり、本当にカワイイ。



でも、金次くんには禁句なのか…。



「ナナ様、今日何食べたい?ケーキ作る?ナナ様お誕生日でしょ?」

「いっぱいいろんなもの食べて来たから、あんまりお腹に入らないかな…」

「きつねうどんは?金の得意料理だよ」

「じゃあ、それお願いしようかな」



笑顔のふたりは、あたしの腕から抜け出して、キッチンへ走って行った。



あんなに小さいのに、あたしなんかに尽くさなくていいのに…。



一生懸命やってくれてるのがわかる。



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