狐と嫁と溺愛と
スーツ姿で、ネクタイを首から引き抜いて。



カッコいい…。



「数学?わかんねぇの?」

「う、うん…。休んでたから全然わからない」

「これは、ここ」



ち、近い…。



教えてくれるの?



ドキドキするんだけど…。



「ナナ?聞いてんの?」

「ご、ごめん…」

「やり方さえ覚えれば、この辺は簡単だ」

「簡単じゃないもん…」

「教えてやるよ、このくらい」



家庭教師大河、降臨。



それはそれは丁寧に、そしてわかりやすく教えてくれた。



学校の授業なんかよりわかりやすい。



1時間もすると、数学は今やってるところまで追いついてしまった。



「天才、大河さん‼︎」

「今日はこの辺にしとけ。他の教科は明日やれば?」

「うん、そうする」

「疲れた〜…」



そう言ってピンク色の派手なソファーに倒れ込む大河さん。



元気をあげたらいい?



お礼の意味を込めて、一瞬だけキスした。



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