狐と嫁と溺愛と
高島さんが出て行ってから枕に顔を押し付ける。



フワフワの枕と、体に合わせるように程よく沈むベッド。



自分の部屋の硬すぎるマットレスと、やっすいペタペタの布団とは大違い…。



ここは天国なんじゃないかと思うくらい寝心地がいい。



最近の寝不足のせいか、1日緊張してたせいか。



何も考えられないくらいの速さで眠りについた。



その日の夜中、なんだか話し声がする…。



「今までご苦労だった」

「滅相もありません。当主様のためならば、10年ちょっとなんて大したことありませんから」

「数千年に1人、神から与えられた血を持つ者…。これで一族は安泰だ」

「しかし、まだ力は弱いかと…」

「構わん。もう、こいつは俺から逃げられない…」

「くれぐれも優しくしてくださいよ?俺だって一緒に暮らしてきて、それなりに親心っての、感じてるんですから」



お父さんの声…?



なんだか変な夢…。



お父さんがこんなとこにいるはずないもん…。



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