狐と嫁と溺愛と

大河さん、何気に紳士なとこあるし。



待ってくれるって言ってたから…。



「あの当主様が…？」

「どういう意味ですかぁ〜…」

「あっ、ごめん…。そんなつもりじゃなくて…」

「大河さん、モテそうだし、過去に何かあっても不思議じゃないって思ってますけどね」

「本当にモテるの‼︎あたしが秘書の時も、会社の女子から取引先の令嬢まで、みんな当主様の虜で‼︎」

「へぇ、選び放題ってわけですね…」

「いや、不純だったと言うか、特定の女性とは付き合わないというか…」



とにかく、大河さんはモテるみたいだ。



会社では社員の人とか、結婚のこと知ってるのかな？



結婚式もしてないし、大河さんの親族にも会ったことないし…。



うわっ、不安になってきた…。



「へこみました…」

「違うのっ‼︎ナナちゃんのこと、本当に大事にしてるんだなって。あんな当主様、見たことないし。すごく羨ましいな…」



高島さんだって、きっと誰かに必要とされる時が来るよ。