狐と嫁と溺愛と
大河さんにそう言われて、困った顔の高島さん。



「探さなくていいの…?」

「探さねぇとマズイだろうな。アイツはそんなに有能じゃないし、立場が当主の妹。俺をよく思ってない妖連中から、何されるかわかんねぇ」

「だったら‼︎」

「ジローが泣きついてきたら」



大河さんには何か考えがあるの?



お父さん、ちゃんと見つけ出してくれるかな?



「高島、お前は動くな。ナナに何かあったら困るからな。で、俺は仕方なく別邸行って、パニック収めて来る…」

「あたしも行きたいっ‼︎」



お父さんが心配だよ。



あのバカオヤジがしっかりしてないからだよ‼︎



「体の回復が先。それに、別邸はお前の嫌いな妖の世界にある」

「えっ?ここから遠くないって、前に…」

「この場所にあるんだ、別邸も。別空間の、同じ場所。そこが、俺の産まれた家。本邸は人間界での住まいだからな」

「うん、理解不能」

「とにかく今のお前は連れて行けない。悪いな、眠っててくれ」



頭を撫でられた。



あっ、眠らされる。



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