狐と嫁と溺愛と
確かに大河さんも超多忙。



気持ちはわからなくはないけど、あたしは結婚してるし、それに、大河さん以外の人なんて考えられない。



「プロポーズくらいしときゃよかった…」

「そんなの今更後悔しても遅いでしょ‼︎どうせ連絡もしないで仕事に明け暮れてたんでしょう?」

「接待で猫娘のキャバクラ行って、その後持ち帰ったのがタマキにバレて、逃げられちゃった。あはっ‼︎」

「バカじゃん‼︎コレが自分の育ての親だと思うと、情けなくて仕方ない‼︎本当にダメ男‼︎」

「わかってるよぉ〜」



とりあえず、まずはタマキさんの奪還。



大河さんが妖の世界に行くから、あたしにもついて来いと。



「ここにいて、何かあったら俺のせいだ。安全な場所につれて行くから。お前があっちに行きたくないことはわかってる。でも悪いな、これは譲れない」

「だ、大丈夫。大河さんが一緒だから…怖くないよ」

「ん、じゃあまず、これに自分の名前を書いてくれ」

「なに?これ…」



葉っぱの形の白い紙。



渡されたペンで、自分の名前を書いた。



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