狐と嫁と溺愛と
なんだかよくわからないけど、なんなのかな?



そう思った瞬間、大河さんがあたしの手を握った。



「ごめん」

「へっ⁉︎いっ…」



親指の腹を思い切り噛まれた。



痛すぎるっ‼︎



ジワッと滲んだ血。



そのまま指をさっき書いた名前の上に押し付けられた。



「指、押さえとけよ?」

「痛い…」

「先に謝っただろ」



あたしの血の付いた紙を上にフワッと投げた大河さんは、何かをボソッと言った後、スーっと手を横に流した。



一瞬にして紙があたしの姿に変わる。



うそ…。



ドッペルゲンガー‼︎



「キモいっ‼︎」

「お前の分身。学校に行っても怪しまれない」

「大丈夫なの⁉︎」

「ナナの記憶や感情はお前と同じだから。そのための血判。よし、準備はいいな?」



よくないんですけど⁉︎



意味がわからない‼︎



「へ、変なことしないの⁉︎」

「大丈夫だって。こいつの記憶はあとでお前に戻してやるから」



信じて大丈夫かな…。



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