狐と嫁と溺愛と
あたしが狙われる存在なら、苦労するのは大河さんだし、もしあたしが何者かに殺されてしまったら、大河さんは一生罪悪感を背負って生きていく。



そんなの、お荷物以外の何物でもない…。



あたしには何もできないとは思ってはいたけど、初めて自分の存在価値を見失った気がした。



「蘭月さんは、あたしが大河さんの奥さんやってることに疑問はないんですか?」

「当主様の決めたこと。私は口出し無用でございます」



やっぱり、あたしは重荷。



それしか考えられず、出された食事も喉を通らなかった。



お風呂はあの双子が見守る中、大きなお風呂に入り、さっきまで着ていた物より軽い着物に着替えて畳の上に敷かれた布団へ。



大河さん、あたしはどうしたらいいの?



住む世界が違いすぎた?



大河さんはあたしを嫁にしたこと、後悔したりしてない?



なかなか寝付けなかった。



体が熱くて、徐々に具合が悪くなってきて。



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