狐と嫁と溺愛と
違うでしょ?



それじゃあ、あたしがもしここから逃げ出したりしたら?



あたしが悪いのに蘭月さんは責任を取るの?



「奥方様に何かあったら、私は首をはねられても文句は言えません」

「そんなのダメっ‼︎あうっ…」

「奥方様っ‼︎」



勢いよく起き上がってしまい、激しい目眩。



咄嗟に差し出された手は、蘭月さんと大河さんのもの。



「触るな」

「すみません…」

「はぁ…」



大河さんに優しく布団に戻され、涙の滲む目で大河さんを見上げた。



そんな冷たいの、嫌だもん…。



「わかったよ…。命拾いしたな、蘭月は」

「じゃ、じゃあ…お咎めなし…?」

「お前にそこまで言われたら、そうするしかないだろ…。甘くなったものだ、俺も」



髪を撫でられて、優しい顔で見つめられて。



あっ、眠らされる…。



「お願いね…大河さん…」



笑って頷いた大河さんを見てから意識を手放した。



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