狐と嫁と溺愛と
どれくらい眠っていたのかわからない。



目を開けたら、体が楽になっていた。



「お体は大丈夫ですか…?」

「あっ、蘭月さん…」

「やはりインフルエンザだったようで、薬を処方していただきました」

「そっか、ありがとうございます」

「まだ寝ていてください‼︎」

「平気ですよ、もう」



大河さんがいなくて、蘭月さんだけがいた。



あたしの世話を蘭月さんに任せたってことは、大河さんは蘭月さんを心の底から信頼してるってことだと思う。



「何もされてないですか…?」

「えぇ、奥方様のおかげで、本当になにもお咎めなしと…」

「よかった…」

「不思議な方ですね、あなた様は」



そうかな?



普通の感覚じゃないの?



だって、人の傷つく姿は、見たくないものでしょう?



「当主様はお優しい方です。ですが、以前にも増してお優しい。それは、あなたが変えたのですね」

「あたしはなにも…」



確かに大河さんは優しい。



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