狐と嫁と溺愛と
妖の世界に来て、大河さんがどんな立場なのかわかったよ。



「そんなヤツで悪かったな、ナナ」

「大河さんっ‼︎盗み聞き?」

「聞こえたんだよ。俺、聴力はいいから」



ピクッと動く頭の上の白い耳。



カワイイ…。



「こら、カワイイとか思うな」

「心読まないで‼︎」

「蘭月と親しげにしてたから、浮気心でも芽生えたかと思って」



はぁ⁉︎



何を言い出すんだ、バカ狐‼︎



あたしがどれほど大河さんを待ってたか…。



「もういい、下がれ」

「はい」



蘭月さんが部屋から出て行って、大河さんとふたり。



心細かったのに…。



「それはすまないことをした」

「読むな、心を…」

「拗ねてるのか?カワイイヤツ…」

「だ、ダメっ‼︎インフルエンザがうつる…」

「俺は人じゃない。うつらないから安心しろ…」



キスでごまかされた?



でも、ちょっと嬉しい…。



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