狐と嫁と溺愛と
そして、やってきた食堂。



大きなテーブルにふたり分の朝食。



イスに座り、スマホを操作しているその人は、あたしの予想とは全く違っていた。



長めの黒髪がサラサラ…。



切れ長の目と、整った唇。



髪をかきあげた指が、長くて繊細な…。



「あっ…」



目が離せない。



キレイな人だ…。



こんなにキレイな男の人を、あたしは見たことがない。



むしろ、女の人の?



目が合ったら吸い込まれてしまいそう…。



目が…合ってる…⁉︎



「おはよう」



低い声は、女ではなく男だと言っていた。



動けない…。



どうしよう、めちゃくちゃイケメンだ…。



「昨日はひとりにしてしまってすまなかったね。よく眠れた?」

「えっ⁉︎あっ、はい…」

「それはよかった。初対面が寝起きだなんて、恥ずかしいな」



優しそうなその口調に、今まで不安だったものが消えていく気がした。




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