狐と嫁と溺愛と
片目にズバッと切られたような傷跡がある。



短髪で、なんの妖なのかわからない。



耳がない…。



「ナナです、初めまして」

「カワイイなぁ〜。いい匂いがする」

「そ、そうですか…?」

「なかなかこっちに来てくれないって噂だったから、俺たちのこと、嫌いなのかと思ってたよ」

「嫌いだなんてっ‼︎思ってないです…」

「はははっ‼︎よろしくな、ナナ様」



嫌いじゃないよ。



ただ、怖いだけ。



「シロは虎の妖だ。希少だろ?」

「そうなの⁉︎少ないの?」

「あまりいないな」

「つ、強そう…」

「…………俺より弱い」



へっ⁉︎



なんで拗ねるの⁉︎



まさかヤキモチ…?



「何食うんだ?」

「決まってるだろ、いつものふたつ」

「あいよ」



いつものってなに⁉︎



席に座ってしばらく待つと、シロさんが持ってきてくれたのはラーメン。



「最高にうまいぞ」

「おいしそう‼︎」



どうやら、大河さんのラーメン好きはここが原点のようでした。



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