狐と嫁と溺愛と
ラーメンを食べ終わり、また街へ出て歩き出す。



ここには車なんてものはなくて、連絡手段も手紙とか、伝言とか。



「あっちの世界で暮らしてて、こっちにきたら不便じゃない?」

「考えたこともないな。こっちではこれが当たり前だし」

「ふぅん…。ずっと思ってたけど、大河さん、話し方も少し違う…」

「そうか?意識したことなかったな…」



あっちにいる時の方が、親しみやすい話し方をしてるの。



妖の姿になると、こんな感じになるのかな…。



「この先、何もないからな?」

「山だね…。遠い?」

「疲れたならすぐに連れて行くぞ?」

「どうやって?」

「歩いてたら日が暮れそうだしな。よっと」

「んなぁっ⁉︎」



だ、抱っこ⁉︎



えっ、もしかして…。



あたしをお姫様抱っこした大河さんはピョンっと木に飛び乗った。



「掴まってろよ?」

「こ、怖っ…⁉︎」



ものすごい速さで、次から次へと木に飛び移る。



し、死ぬっ‼︎



< 246 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop