狐と嫁と溺愛と
怖すぎてひたすらしがみついていた。



あたしを抱えてる本人は、涼しい顔で前を向く。



これ、ヤバイ…。



乗り物に弱いあたし。



ジェットコースター並みの速度でピョンピョン飛ばれると…。



き、気持ち悪いっ‼︎



「よし、到着」

「…………」

「ナナ?」

「は、吐きそう…」

「は⁉︎ちょ、ちょっと待てっ‼︎」



着いた屋敷の外観なんて、チラリと見ただけ。



バタバタと中へ入った大河さんが、あたしを抱えたままトイレに連れてきてくれた。



「うっ…」



一気に出たよ、ラーメンが…。



シロさん、ごめんなさい…。



やっとの思いでトイレから出ると、大河さんは申し訳なさそうな顔。



「悪い…」

「ごめんなさい…」

「なんでナナが謝る。気遣ってやれなかったのは俺だ」

「忘れてほしいです…。気持ち悪い…」

「部屋を用意してもらう。しばらく休むといい」



乗り物酔い、治したいよ…。



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