狐と嫁と溺愛と
あたしがいるリビングに、真っ赤な目をした春乃と、スーツ姿の大河さん。
「春乃…」
「ごめんね、ナナっ…」
「泣いた…の…?」
「自分がおかしいかもって、小さな頃から思ってたの…。大河さんの話を聞いたり、大河さんの本当の姿を見せてもらって、やっと自分がなんなのか、わかったよ…」
「それじゃあ、春乃は…知らなかったの…?」
「知らなかったよ‼︎うちってお母さんしかいないでしょ?お母さんはたぶん、普通の人間なの…。あたしがおかしいんだって、ずっと思ってた…」
春乃はうちとは逆の母子家庭だ。
うちのお父さんを好きなのは、自分にはいない父親の影を見ているのかもしれないって、少し思っていた。
春乃の父親が妖…。
納得したかもしれない。
「悪かったな、全てを暴露してしまうようなことをして」
「いえ、大河さんが教えてくれなきゃ、あたしの疑問はずっと疑問のままだった。自分がなんなのか、わかっただけでもスッキリしました」
そう言って、春乃はあたしに本来の姿を見せた。
黒いネコ耳が頭の上にあり、長くて細い尻尾が現れて。
あたしの親友は妖だったのかと、実感した瞬間だった。
「春乃…」
「ごめんね、ナナっ…」
「泣いた…の…?」
「自分がおかしいかもって、小さな頃から思ってたの…。大河さんの話を聞いたり、大河さんの本当の姿を見せてもらって、やっと自分がなんなのか、わかったよ…」
「それじゃあ、春乃は…知らなかったの…?」
「知らなかったよ‼︎うちってお母さんしかいないでしょ?お母さんはたぶん、普通の人間なの…。あたしがおかしいんだって、ずっと思ってた…」
春乃はうちとは逆の母子家庭だ。
うちのお父さんを好きなのは、自分にはいない父親の影を見ているのかもしれないって、少し思っていた。
春乃の父親が妖…。
納得したかもしれない。
「悪かったな、全てを暴露してしまうようなことをして」
「いえ、大河さんが教えてくれなきゃ、あたしの疑問はずっと疑問のままだった。自分がなんなのか、わかっただけでもスッキリしました」
そう言って、春乃はあたしに本来の姿を見せた。
黒いネコ耳が頭の上にあり、長くて細い尻尾が現れて。
あたしの親友は妖だったのかと、実感した瞬間だった。