狐と嫁と溺愛と
部屋を見た志鬼くんは感動したようで、はしゃぎながら荷物をソファーに放り投げた。



「スッゲー‼︎ベッドで寝るの、何年ぶりだろ〜」

「志鬼くんのお部屋はお布団なんだね」

「ってかさぁ、ナナ様と大河様の部屋って同じじゃねぇの?」

「へっ⁉︎」

「いや、うちの父ちゃんと母ちゃんは同じ部屋だし。夫婦って、それが普通なのかと思ってた」



そ、そういうものなの?



うちは父子家庭だったし、普通の夫婦がよくわからない。



それに、大河さんと同じ部屋だなんて、休まる気がしないというか…。



「当主様は不規則な生活をされてますからね。夜中に帰宅して、早朝に出て行かれるなんて、日常茶飯事。ナナ様を起こさないようにと、当主様のご配慮ですよ」

「高島さん‼︎」

「志鬼様、私、屋敷の管理とナナ様のお世話係りを仰せつかってる高島と申します」



高島さんが志鬼くんに挨拶をして、とりあえずお茶の時間。



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