狐と嫁と溺愛と
これからだよね、春乃が大変なのは。



あたしは妖の世界のことを理解するのに時間がかかった。



きっと春乃も、時間がかかるんだろうな…。



「じゃあ、あたしたちは街に行ってくるね」

「おぅ、悪さすんなよ、志鬼」



志鬼くんはただ頷いていた。



夕方からくらいには元に戻れるかな?



行ってくるね、大河さん。



みんなで家を出て、向かったのはまずカラオケ。



志鬼くんが歌い、春乃も歌って。



「ナナ様も歌えよ‼︎」

「ねぇ、そのナナ様ってのやめない?」

「でも、ナナ様だし…。普通に生活してたら、俺みたいなのはナナ様には関われねぇんだぞ」

「どうして?」

「神の恩恵を受けられるのは限られた種族と、その頂点の妖だって、母ちゃんが言ってた。うちの母ちゃん、鬼のトップだし」

「そ、そうなの⁉︎」

「怖いだろ、あの人。まぁ、俺も一応偉い立場ではあるらしいんだけど」



鬼の王子様じゃん‼︎



< 285 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop