狐と嫁と溺愛と
そんな話しをしながら帰った家には、まだ妖姿の大河さん。



戻ってないじゃん‼︎



「ただいま」

「おかえり。楽しかったか?」

「楽しかったよ‼︎春乃もいっぱい笑ってた‼︎」

「そうか、よかったな。で、俺は見ての通り、戻れねぇ」



仕事に行けないじゃん。



また、千尋さんとお父さんに怒られるよ…。



「で、試しにやってみた」

「なに…」



目を疑った。



そこにいたのは、あたしと志鬼くんと、見た目にはほとんど大差ない歳のふたり。



「金次…くんと秋銀ちゃん‼︎」

「ナナ様、ありがとう。まさかこんなに成長できるなんて思ってなかった」



あんなに可愛かった金次くんがイケメンに成長してるっ‼︎



秋銀ちゃんも、やっぱりキレイ…。



「どうだ?」

「ヤバイっ、感動して涙が…」

「ははっ、昨日から泣いてばっかりだな、ナナは」



嬉しそうに笑うふたりに、涙が出た。



あたし、役に立てたよ。



お母さん、ありがとう。



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