狐と嫁と溺愛と
これは…大河さん…?



「何してるのっ‼︎」

「うるせぇよ…。早く…呼んでこいっ‼︎」

「大河さんっ‼︎高島さんが死んじゃう‼︎」



咄嗟に腕を握ったら、高島さんを絞めていた尻尾が緩んだ。



床に倒れこんだ高島さんが咳き込んでいて、ここにいちゃいけないと、直感で思った。



「高島さん‼︎早く部屋の外に‼︎」

「ゲホッゲホッ…」



フラフラと外に出た高島さんは、先生を呼ぶと言って、自室に戻った。



騒ぎを聞きつけた志鬼くんが、ドアから顔を出している。



「なんか…あった…?」

「大河さんがすごい熱でね、ちょっと…怖い…」

「熱?妖だぞ。人間界にいるのに、熱なんて出るわけない…」

「でもっ‼︎」

「うわっ、マジで…ヤバそうだな。殺気みたいなもんを感じる。ナナ、離れとけ」

「ヤダよっ‼︎もしあたしの妖力を喰べたせいでこうなってるとしたら…あたしのせいっ‼︎」

「ナナっ‼︎お前は人間だろ‼︎俺たち妖なら、そう簡単には死なない。お前はダメだ、脆いんだ、人間は」

「だけどっ‼︎大河さんが…心配で…」

「俺がついてるから。ナナは部屋にいるといい」



志鬼くんって、こんなに頼もしかったっけ?



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