狐と嫁と溺愛と
あたしは、どんな顔をしたらいい？



「い、いらない…？」

「そんなこと、思ってねぇ…。妖力なんて、もういらねぇ。そばにいてくれるだけでいい。ごめん、ひどいこと言って、本当に…ごめん…」



力強く抱きしめられた。



大河さんの腕が、震えている。



泣いているかのように、震えてる。



「泣かせてばっかりだな…」

「大河さんなんて大嫌いっ‼︎みんなのこと傷つけたっ‼︎いらないって言った‼︎妖力なんかに呑まれないでよっ‼︎そんなに弱くないでしょう⁉︎」

「ごめん…」

「大河さんは強くて…優しいのにっ‼︎あんな大河さんっ…嫌いだからっ‼︎」



ひたすら泣いた。



その全てを掬うかのように、ずっと抱きしめられていた。



ひとしきり泣いたら、少しスッキリして。



フラつくという大河さんと向かったのは、志鬼くんの部屋で。



ノックすると、元気な声が聞こえて、少しホッとした。






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