狐と嫁と溺愛と
中に入ると、志鬼くんはベッドの上。



「志鬼、すまないことをした」

「いや、俺が弱いんですよ。今まで、自分の力を過信していた。力は自信あったのに、大河様の前に立つと、俺なんか…虫ケラみたいだった」

「すまない…」

「しかも、本気じゃなかったですよね?笑ってた…」

「…………」

「昨日龍に会って、デカイこと言ったけど、もし、龍と戦争になったとしても…俺は足手まとい以下だ。大河様、俺を強くしてください」



志鬼くんはそう言って頭を下げた。



複雑そうな大河さんの顔。



自分が受けた傷なんかより、力を欲する。



それが妖?



「ごめんな、志鬼。お前を殺さなくて…よかった…」

「そんなこと、どうだっていいんだ。今の俺じゃ、誰も護ることができないって、ちゃんと気づかせてくれた」

「俺が怖くないのか?」

「正直、怖いですよ。でも、それ以上に尊敬してます」



大河さんの目を見て、ハッキリそう告げた。





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