狐と嫁と溺愛と
志鬼くんは強いね…。



あたしは泣くことしかできないのに…。



「俺、大河様のそばで強くなりたい」

「それはあいつらに相談してしないと…」

「父ちゃん達なら説得してみせますよ。だって俺、時期当主なんで」



ニカッと笑った志鬼くんの頭を撫でた大河さんは、もう一度謝ってから部屋を出た。



苦笑いの大河さんは、きっと罪悪感でいっぱいなんだと思う。



「高島のとこへ行く」

「大河さん、大丈夫?顔色が良くないけど…」

「俺が眠った薬の副作用だろう。体の痺れが抜けない」

「お部屋に戻ろう?高島さんなら、呼んでくるから」

「いや、俺が行きたいんだ」



フラフラだよ、大河さん…。



そんなのお構いなしに、高島さんの部屋へ向かった。



高島さんは大河さんを見るなり、ビクッと肩を震わせていて。



「高島、ごめんな…」

「当主様っ‼︎頭をお上げくださいっ‼︎」

「お前を手にかけるなんて、あってはならないこと…」



大河さんの気持ちが、痛い…。



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