狐と嫁と溺愛と
最悪を想定した先生が、麻酔を置いていった。



これから先、どうすればいいのかな…。



「部屋を…直さないとな…」

「うん、しばらく違う部屋がいいね。緑色のドアって、使ってないよね?そこにしたら?」

「ん、そうだな…」

「大丈夫?」

「少し、お前の部屋に行っていいか?」

「うん、いいよ…」



あたしの部屋へやってきて、ふたりでベッドに座る。



大河さんは横になり、辛そうにため息をついた。



「お水、持ってこようか?」

「なぁ、ナナ…」

「なに?」

「弱いこと、言っていいか?」

「う、ん…」

「俺はもう、お前に触れちゃいけないのか?誰も…傷つけたくない…。初めて自分が怖いと思った。大事なやつを、俺は自らの手で…」

「ごめっ、大河さんっ…あたしのせいっ‼︎」

「違うよ、ナナのせいじゃない。俺が弱い。心が、支配されたようだった…。触れたい。でも、怖い…。お前を愛しているのに…お前が怖い」



大河さんの目から涙が流れた。



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