狐と嫁と溺愛と
あたしの力で、大河さんがまたおかしくなったらどうしたらいい?



それが一番怖い。



「俺がやる」

「大河さん…」

「そんな顔するな、大丈夫だ」

「だけどっ‼︎」



ニコッと笑って、頭を撫でられた。



怖い、大河さんと触れ合うのが。



あんな大河さん、もう見たくない…。


「あっ、そういえば、奥方の血を調べた結果が出た」

「「えっ⁉︎」」

「父親が陰陽師の家系のようじゃな。本人は自覚があったのかはわからんが、そんなに濃くはない」

「それは…どうしたら?」

「どうしたらいいかは、ワシにもわからんよ。当主様が強くなる以外、道はない」



誰も声を出さない。



ここにいる全員が、何て言えばいいのかわからないんだ。



重苦しい空気だけが、部屋を包む。



しばらくの沈黙の後、最初に言葉を発したのは大河さんだった。



「ふっ…はははっ‼︎面白いじゃねぇか」

「大河…」

「これ以上俺が力をつけるのか?最強になっちまうぞ」

「やめろよ‼︎また俺との差ができちまう‼︎」



大河さん…。


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