狐と嫁と溺愛と
小さな瓶に溜まる水色のモノ。



水ではなく、空気みたい。



「気体…なんだね…」

「そうだな。で、これを志鬼に飲ませる。まぁ、この作業は俺がかなり疲れるわけだ」

「そうなの…?」

「俺の体に入ったのに、お前の力だけ抜き出すのは、地味にしんどい」

「大丈夫?」

「ダメって言ったら、回復させてくれんの?」



それはまた力をくれって意味?



疲れてる大河さんを拒否するのはイヤだ。



だけど、それ以上に大河さんに力をあげるのが怖い。



「ウソだ。こんな程度で疲れねぇよ」



ポンポンッと頭に乗る手。



胸が痛い…。



あたし、大河さんと触れ合うのが怖いよ…。



「ナナ」

「ごめん…」

「なんで謝る?俺はお前に負けたりしねぇよ?今はムリでも、必ずな」

「ギュッて…したい…」

「おいで」



抱きつけば抱きしめ返してくれる。



大河さんが好き。



好きだから、こんなのイヤだ…。



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