狐と嫁と溺愛と
こんなこと、いつもの大河さんは望んでない。



恐る恐るリンさんに近づき、息があることを確かめた。



「だから殺してねぇって」



軽くそう言う大河さんに、物凄くムカついた。



咄嗟に平手打ちをかましている自分に気がつき、かなりヤバイことをしてると、すぐに冷や汗が出てきた。



「いい加減にしてよ‼︎結局のところ前と変わってないじゃん‼︎あたしの方があなたより強いのね‼︎」

「あ…?なんだと?」

「実際そうでしょ?完全にあたしの力に呑み込まれてるじゃん。誰かを傷つけることしかできないんでしょ?お父さんよりポンコツ‼︎」



言いたいことは言ったと思う。



ドアの向こうで、春乃が心配そうにこっちを見ていた。



春乃は逃げた方がいいかもしれない。



「相当殺してほしいみたいだな」

「あぅっ…」

「俺に意見するんじゃねぇ。ただのエサのくせに。お前なんかいなくても、俺は強い」



首を絞められて息ができない…。





< 338 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop