狐と嫁と溺愛と
フワッと抱っこされて、リンさんを残したまま離れを出る。



大河さんは春乃のことを完全に無視。



「はる、春乃‼︎リンさんお願い‼︎」

「うん…」



不安そうな顔しないで。



あたしは大丈夫だから。



「大河さん、お部屋に戻るの…?」

「いや、昼寝する」

「へっ⁉︎」



高い木の上まで一瞬。



ちょっと、高いとこは強いんですけど…。



「寝るって…ここで⁉︎」

「見てみろ、あそこが街だ。明日、ラーメン食いに行くか」

「なんなの…」

「あっちの山は俺がガキの頃ジローと一回燃やした。で、あそこが親が隠居した山。あそこからあそこまで、俺の治める地だ。すごいだろ?」

「す、すごいですね…」

「俺は偉いんだ。そして強い。今のは俺は最強だ」



何が言いたいのかわからない。



でも、大河さんは笑っている。



穏やかな大河さんが好きだよ…。



「好き…」

「もっと言え。それを言われると更に強くなれる気がする」



負けないで、大河さん…。



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