狐と嫁と溺愛と
木の上は怖いけど、大河さんがしっかり抱きしめてくれている。



元の大河さんが好きなのに、やっぱり大河さんに違いなくて…この腕に安心する…。



「落とさないでね…?」

「落としたら死んでしまうだろう。そんなことはしない」

「うん…」



体は痛くて辛い。



だけど、心はすごく暖かいの。



こんな凶暴な狐に安心感を感じるなんて、変なの…。



「ナナ…」



頭にチュッとキスされて、そのまま眠りに落ちた。



すごくステキな夢を見た気がして、目を開けたら尻尾があたしを包み込んでいて、大河さんは眠っている。



キレイだな、大河さん…。



「ねぇ、もう夜だよ…」

「ん…」

「起きないの?このまま木の上で生活するのはイヤだよ?」

「腹が…減ったな…」

「あたしも。こっちに来てから何も食べてない…」

「メシにするか」



あたしを抱き上げ、フワッと地面に降り立った大河さんは、そのままあたしを抱っこ。



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