狐と嫁と溺愛と
結局あたしは大河さんのいいようにされて、現在お風呂。



広い湯船に、ふたり無言で入ってます。



「こっち来い」

「ムリ‼︎」

「ナナに触りたい」



ストレートにそんなこと言われると、顔が熱くなる。



家のお風呂より温度高いし、のぼせてしまいそう…。



「お、お腹すいたね…?」

「肉が食いたい」

「こっちのご飯って‼︎あっちの世界と変わらないよね‼︎」

「そうでもない。ナナに合ったメシが出てるだけだろ」

「えっ…」

「グロテスクなもん、いっぱいあるぞ」

「そういうのは遠慮しますっ‼︎」

「ははっ」



笑う大河さんは、いつもの大河さんのようで…。



でも、本当は違うんだよね?



勘違いしそうになるよ…。



「ねぇ、大河さん…」

「なんだ?」

「どうして、誰かを傷つけるの?」

「どうして?考えたこともない」

「それを考えてみたら?リンさんや志鬼くんを傷つけて、あなたに何の得があるの?」

「…………」



黙り込んでしまった…。



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