狐と嫁と溺愛と
今の大河さんは、有り余る力を発散したいだけ。



自分と同じくらい強い妖と戦いたいだけ。



「楽しいことがしたいよ、大河さん…」

「楽しいこと…」

「力のことは考えないで、こっちの世界を楽しみたい」

「意味がわからないな。こっちには強いヤツはいっぱいいる。あっちでは暴れられない。ここは力が全てだ」

「違うよ。優しさや誠実さの方が強いんだよ。心はね、そういうのに惹かれるの。力での支配は、ただ恐怖心を植え付けるだけなんだよ」



困ったような顔をされた。



だけど、あたしは間違ってないと思ってる。



「不思議なヤツだな、ナナは」

「そうでもないよ。普通だよ」



なんだかこの威圧的な大河さんに慣れてきた。



あたしが受け入れなきゃいけないんだと思うし。



今のは大河さんは、いつもの大河さんより幼い気がする。



カワイイと言えばカワイイ。



お風呂から出ると、豪華な料理が用意されていた。



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