狐と嫁と溺愛と
あたしもイライラしていたんだと思う。



つい、そんな態度を取った。



「チッ…」



舌打ちをして立ち上がった大河さんは、バンッと襖を壊すんじゃないかと思うほどの力で開け、出ていった。



どこに行くのかなんて、なんだかどうでもよくなって…。



心身共に疲れているんだと、やっと気がついた。



あたしが頑張ったって、どうにもならないのかなって。



春乃との関係、大河さんの狂気。



リンさんのケガや、体のダルさ…。



何も考えたくなくて、意識がなくなるように、目を閉じた。




「様っ‼︎奥方様っ‼︎」

「んっ…」

「お休みのところ申し訳ありません‼︎」

「蘭月さん…?どうかしたの…?」

「当主様が…」



大河さんが?



重い体を持ち上げ、蘭月さんについて行った。



バカ狐…。



「当主様はお強いのね〜。はい、もう一杯」

「酒なんて水と一緒だろ」



開け放たれた部屋に見えたのは、遊女のような女の人。



大河さんに絡みつき、お酌をしてる。


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