狐と嫁と溺愛と
そう来たか。



暴力の次は女か。



「奥方様…?」



ズカズカと畳の上を歩き、大河さんの目の前に立った。



大河さんはまともじゃないってわかってる。



だけど、あたしの旦那様なの。



性格が違っても、その事実は変わらないの。



「なんだよ、なんか問題あんのか?」

「どちら様?当主様、妹なんていたのかしら?」

「どちら様だろうな」



冷たい目。



あたしと目を合わせない。



ブチっと何かがキレた。



「おいっ‼︎」



大河さんから奪い取ったお酒を、そのまま煽った。



体が一気に熱くなる。



お猪口をその辺に放り投げ、大河さんの胸ぐらを掴む。



「DVに浮気、離婚する覚悟できてんでしょうね?」

「は…?」



怖いものなんてなにもない。



あなたに殺されるなら、本望だから。



死ぬんだったら、暴れてからにしてやる。



「奥方様っ‼︎」

「うるさいっ‼︎蘭月さんは黙ってて‼︎」



これはあたしの問題だ。



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