狐と嫁と溺愛と
あぁ、目が回る…。



「ってことだ。お前はいらねぇ。むしろ、お前じゃ勃たねぇ」

「なっ⁉︎最悪っ‼︎」



顔を真っ赤にして怒った女の人は、バタバタと部屋から出て行った。



後を追ってった蘭月さんにより、この部屋にはあたしと大河さんだけ。



「浮気なんてすんな、バカ…」

「いい女だな、お前」

「本当に浮気したら捨ててやるんだから」

「そうか、愛されてるな、俺」

「うん、愛してる」

「それにしても…熱くねぇか…?」

「ん、暑い…」



グラグラ、グルグル、あっ、ダメかも…。



大河さんの胸に寄りかかり、抱きしめられたまま目を閉じた。



むしろ、意識が飛んだようだった。



夢の中でも熱くて、苦しくて。



「んっ、ハァ…」

「ナナ?」

「水…」



喉がカラカラ。



今がどんな状況かなんてわからない。



口の中に流れ込んできた水を飲み込む。



それだけで精一杯。



「もっと…」

「ん、今やる」



あっ、口移し…?



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