狐と嫁と溺愛と
苦しいよ、大河さん。



潰れてしまう。



「傷つけたくない。お前だけは…殺せない」

「だったら、他の人も大事にして?あたしはいくら傷ついたっていいから…」

「体、辛いよな?わかってる。わかってるけど…俺は勝ちたい。悪いな、抱かせてくれ」



全く力が入らないまま、さらに大河さんに自由を奪われる。



与えられるのは快楽だけで、手を伸ばすこともできず、ただ声を上げる。



「ナナ、ナナ…」



気を失いそうになると名前を呼ばれ、覚醒させられて。



フーッと大河さんから抜けていく水色の気体が綺麗すぎて、涙が出た。



「くっ…」

「大河さんっ…妖気抜いてるの…?」

「お前ので満たしてる。全部、お前の力。俺は…ちゃんと守りたい。全てを、守る」



そうだよ、その力はね、守るためにあるんだよ。



それでこそ、大河さんでしょ?



「大好き、大河さん…。殺してもいいから、もっと喰べ…て?」



完全にプツリと意識がなくなった。



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