狐と嫁と溺愛と
次に目を覚ますと、布団の上にひとり。



誰もいない、静かな部屋。



起き上がると、熱は下がっていた。



「起きたの?ナナ」

「春乃…?」

「入っていい?」

「うん」



どうやら、あたしはしばらく眠り続けていたらしい。



3日、目覚めず、春乃には偉く心配をかけてしまった。



「ずっと部屋の外にいたの?」

「ううん、リンさんにいろんなこと教えてもらって、妖力の使い方とか、ちょっと覚えたらナナが目覚めた気がして」

「すごいね‼︎さすが春乃‼︎志鬼くんにも見習わせなきゃ」

「元気そうでよかった」



笑ってくれた春乃に、涙が溢れた。



ごめんね、春乃。



イヤな思いばっかりさせて、本当にごめん。



「泣かないの‼︎」

「だって…」

「こっちに来たこと、後悔してないよ。今までいた世界と違い過ぎるから、ちょっと動揺しただけ。平気だから、ね?」

「ごめっ…」

「謝るなっ‼︎ナナが大河さんに何もされなくてよかった」



あっ、大河さん‼︎



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