狐と嫁と溺愛と
春乃に聞けば、自分の目で確かめろと言われた。



まだ少しフラフラする体を連れ、中庭へ出た。



「当主様痛いっ‼︎」

「そんなんじゃ屋敷の護衛にはなれないぞ」

「だって、当主様手加減してくれないからっ‼︎僕まだ子供だぞ‼︎」

「子供だって妖狐に変わりはないだろう」



大河さんが数人の子狐相手になにやら楽しそう。



笑ってる…。



「あっ、お姫様だっ‼︎」

「初めて見たけど…当主様、面食いってヤツだな‼︎イテッ‼︎」

「バカだな、挨拶が先だろ‼︎」



寄ってきた子狐ちゃんたちが次々に挨拶をする。



可愛くて、頭を撫でていたら視線を感じた。



「もう大丈夫か?」

「あっ、うん…。大河さんは…?」

「迷惑かけたな。もう、呑まれたりない。ごめんな、ナナ」

「大河さんっ…大河さんっ‼︎」



今ある元気で大河さんに飛びついた。



大河さんの腕の中で泣きじゃくるあたしを、子狐ちゃんたちが赤い顔で見ていた。


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