狐と嫁と溺愛と
布団の上に寝かされて、優しく頭を撫でられる。



「あの子たちは…なに?」

「この屋敷に護衛として雇ってるヤツらの子供だ。稽古つけてくれってうるさくてな」

「ふふっ、楽しそうだった」

「あぁ、楽しかった」



目が合い、お互い笑いあう。



穏やかな空気が、やっと戻ってきたんだ…。



「怖い思いも、痛い思いもさせた。ごめんな、ナナ…」

「ううん、大丈夫。あたしもたくさん酷いこと言ったと思うし…」

「お前のおかげだ。ナナのおかげで、ちゃんと自分を取り戻せた。もう、俺は負けない」

「うん、負けちゃダメ」



チュッとおでこにキス…。



顔が熱い…。



「あの女のことも、悪かったな」

「本当だよ‼︎あれは最低‼︎さすがにキレるよ、あたしだって」

「ははっ、ナナに酒は飲ませちゃいけないってことがわかったけど?」

「あれは…そうだね、飲まない方がいいみたいだね…」

「お前が酒乱だとはな…」

「違っ‼︎違う…よね?」

「くくっ…どうかな?」



最悪…。



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