狐と嫁と溺愛と
お母さんは春乃の生きたいように生きなさいって。



素敵なお母さんだなぁ…。



「あたしも妖に生まれたかった…。なんだか、仲間外れ…」

「お前、バケモンだろ…」

「えぇぇぇぇっ⁉︎なんで⁉︎」

「俺をあんなに苦しめといて、自分は普通の人間だとでもいいたいのか?」

「ひ、ひどくないっ⁉︎」

「ある意味妖以上だよ、ナナ。キレるとやばいしな」



笑い事じゃないもん…。



あたしはきっとふたりより先に死んじゃうんだ。



先に歳をとって、老いていく。



あたしだけおばあちゃんだよ。



そんなの、耐えられるのかな…。



「あたしも妖になりたい…」

「「…………」」

「えっ、なんで黙るの⁉︎」

「いや、ナナに耳が生えた姿を想像して萌えた…」

「大河さん⁉︎」

「尻尾とか、たまんねぇな…」



そんなバカな話をして夜がふけた。



寝るのはもちろん大河さんと一緒で。



抱きしめられて、心地いい眠り。



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