狐と嫁と溺愛と
大河さんの匂いが、いつもより強い。



「なら、一緒に入る」

「お前はメシ」

「背中流すくらいいいでしょ?あたし、奥さんだもん」

「…………」



無視⁉︎



クルッと向きを変えた大河さんは、そのまま歩き出した。



あたし、信用ないの?



頼られないの?



ねぇ、大河さん。



「うりゃっ‼︎」

「がっ‼︎ってぇ…」

「やっぱりケガしてるじゃん‼︎たまにはあたしの言うこときいてよね‼︎」



後ろから思い切り抱きついてやった。



脇腹を抑える大河さん。



「参ったな…。嫁が恐妻になりつつある…」

「当主様、諦めてください。治療が必要なら、おっしゃってくださいね」

「リン…。あとで見とけよ…」

「奥方様、当主様に恨まれてしまいました。これはクビが飛ぶかも…」



そんなこと、絶対ダメだと言って、大河さんとお風呂にやってきた。



リンはいつの間にそんな技を身につけたんだと、ブツブツ言ってたけど。



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