狐と嫁と溺愛と
そんなの構わずに一緒にお風呂場へやって来た。



「脱がないの?」

「お前には…見せたくないんだ…」

「大丈夫だよ。大丈夫…」



大河さんの着てる服は、何重にもなっていて、いつまでも脱がないので、脱がせようと手をかけた。



抵抗するわけでもない大河さんは、されるがまま。



パサリと、上に着ていた着物を脱がせると、おびただしい程の血の量。



えっ、これは…大丈夫なの…?



「俺には治癒能力がある。それでもここまで治らないってことは、切られた刀になにか仕込まれていた」

「治る…?」

「あぁ、時間が経てばな」



もう一枚、もう一枚と脱がせて、最後の一枚に差し掛かると、白かったものは真っ赤に染まっていた。



「んっ…」

「痛い⁉︎」

「大丈夫だ。痛みには慣れてる」



どんな経緯があったら痛みに慣れるのか。



そんな疑問はどうでもいい。



今は大河さんが心配だ。



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