狐と嫁と溺愛と
怖かった。



大河さんが死んじゃったらどうしようかと思った…。



「奥方様には淡い色が似合いますね」

「んっ…」

「黄緑もお似合いになります。ステキです、奥方様」

「雫っ…ちゃんっ…」

「泣いたっていいんです。奥方様は女の子なんです」



ダァーっと流れ出した涙が止まらなくて、雫ちゃんが髪の毛までセットしてくれてる。



「着替えは終わったか?」



襖越しの大河さんの声に、雫ちゃんがまだだと答えてくれた。



程なくして涙が止まると、髪には黄緑のトンボ玉の簪。



カワイイ…。



「お化粧します?」

「してくれるの…?自分じゃどうにも…」

「任せてください」



雫ちゃんが化粧までしてくれて、目は赤いけどいつもよりカワイイあたし。



雫ちゃんがあたしのお世話係りでよかった…。



これがリンさんや蘭月さんなら、泣き顔全開のまま大河さんの前に座ってたと思うよ…。



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