狐と嫁と溺愛と
ふわっと浮く感覚。



あっ、ダメだ。



起きなきゃいけないのに、目が開かない…。



「いかがされました⁉︎」

「車酔い。眠らせたからしばらくはこのままだろうな。乗り物に弱いとは聞いていたが、すっかり忘れていた」

「よかった…。てっきり当主様がナナ様によからぬことをしたのかと…」

「そこまで節操のない男じゃない。それに、まだ覚醒してないヤツを抱いても意味がないだろ」



あなたは誰?



この声は高島さん…?



夢?



現実?



ダメだ、意識が保てない…。



体が熱いよ…。



熱があるみたいに、体が熱い…。



「んっ…」

「ナナ様⁉︎」

「高島…さん…?あたし…」

「デートの帰りの車で眠ってしまわれたそうですね。旦那様がここまで運んでくださいました」



自分の部屋…?



なんだか…頭がボーッとする…。



「大河さんは…」

「急なお仕事で、会社の方に…」

「そうですか…」



今は顔を見たくなかったからちょうどいい。


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