狐と嫁と溺愛と
真っ赤な顔して車を運転してる高島さんとやってきた会社は大きかった。



なんの仕事してるのかわかんないけど、大河さんはここの社長さんなのか。



「社長は今どちらへ?」

「あっ、高島さんっ‼︎少々お待ちください」



受付のお姉さんが高島さんのことを知っていたのは、ここが高島さんの元職場だからだろう。



バリバリ仕事できたんだろうな…。



「社長は現在会議中でございます。お待ちになるのでしたら秘書室へと」

「わ、わかりました。行きましょう、奥様」

「お、奥様っ⁉︎もしかして社長の…」

「そうですよ。失礼のないようにお願いしますね」

「申し訳ございませんっ‼︎」



いやいや、あたし、そんな大層な人間じゃないんで…。



だけど、あたしは大河さんの奥さんで、社長夫人らしいから。



ぺこりと頭を下げて高島さんの後をついて行った。



「すごいですね、ここ…」

「何がですか?」

「みんな高島さんに頭下げてる…」

「お世話になった方々ですよ」



高島さん、偉かったんだと思う。


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